28/05/2026
ペアリングの愉しみ方
2021年9月末より、新たな挑戦として現在のスタイルへ移行し、早いもので5年目を迎えました。
以前のBARスタイルとは異なり、料理と飲み物が重なり合うことで生まれる“ペアリングの愉しさ”をお伝えしたく、さまざまなアプローチを重ねてまいりました。
その中で、お客様との対話を通じ、「ペアリング」に対する感じ方や期待されるものも、少しずつ見えてきたように思います。
ペアリングには実にさまざまな効果があります。
細かくお話しするととても複雑になってしまうのですが、多くのお客様が求められているのは、料理を口にした後に飲み物を重ねた時に現れる、“新しい味わいとの出会い”なのだと感じています。
当店のシグネチャーのひとつに、初夏の鰹と、メスカル、ジャスミン茶、茗荷を合わせたペアリングがあります。
合わせることで、まるでシードルのような風味へと変化していきます。
ただ、この表現は4月から6月頃の初鰹だからこそ生まれる味わいであり、戻り鰹ではまた異なるアプローチになります。
私がペアリングで最も大切にしているのは、「料理もカクテルも、それぞれが美味しいこと」。
その上で、重ねた時にだけ現れる“第三の味わい”を、コースの中にさりげなく散りばめています。
しかしながら、この第三の味わいを作り上げるのはとても難しいという事と、全て“第三の味わい”のペアリングは、コースの緩急がなくなってしまいますのでいたしません。
ペアリングは必ずしも「料理を食べてから飲む」だけではありません。
先にカクテルを口にすることで、料理の印象が変化する組み合わせもございます。
お客様の会話の邪魔にならないように一言だけペアリングポイントをご説明させていただいておりますので安心していただけたらと思います。
同業の方々から、「飲み物と料理 どちらからペアリングを組み立てているのですか?」と聞かれることがとても多いです。
私は、どんなに料理に力を注いでいても、基本的には職業は「バーテンダー」です。
だからコースの中では、料理からペアリングを考えていくことが多いです。
コース全体を通して、料理で季節の移ろいを感じていただき、そこへカクテルやお茶が空気感を重ねていく。
その瞬間ごとの出会いを楽しんでいただけたら嬉しく思います。
移転前のBAR時代から変わらず大切にしている、“その季節の一瞬”。
一皿と一杯が重なり合う、その季節だけの組み合わせこそが、当店ならではのペアリングの愉しみ方だと考えております
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